スイミング・プール

先週みなみ会館で鑑賞。遅くなったけど感想を。
全編に漂う不安定だが心地よい音楽。寝不足と、名画座の深くて居心地の良いシートのせいもあり始まって15分ほどでウトウトしてしまい、若い女の激しい絡みのシーンで目が覚めた(笑。フランス映画らしく、とにかくやたら絡みや裸体が出てくる作品であった。でもそれがいやらしく感じられないしとても自然。日本だとこうはいきません。
有名なイギリスのミステリー作家サラ・モートンシャーロット・ランプリング)と、彼女が南仏の別荘で出会う奔放な若い女ジュリー(リュディヴィーヌ・サニエ)。作家として新作を創作することに葛藤していたサラがジュリーの出現に初め惑わされ苛立ち、しかし彼女を「見る」ことで徐々に新しい創作意欲を生み出していく。
サラの、自身の抑制された性や若さへの嫉妬・羨望。対して成熟した中年女性だけが持つ魅力。これらが交錯し二人の立場が入れ替わる場面がとても面白かった。こういうの、オゾン監督は本当に上手。
ネタバレになってしまうので詳しくは書かないけれど、ラストで「え・・?」というドンデン返し、その後「はぁー・・」と思わずため息。この映画はサスペンスだとみる人も多いだろうが私は謎解きなんかどうでもいいと思った。二人の女性の間の敵意や妙な親しみの感情。ジュリーからインスピレーションを受け嬉々としてタイピングするサラの手元。ジュリーの存在の謎。創作と現実と妄想。そして題名となる『スイミング・プール』という小説名。
映画としていろんな解釈のできる、素晴らしい映画。是非もう一度観たいと思える映画。