わぎゅう。僕は和牛だ


夫婦茶碗

夫婦茶碗


これは小説?エッセイではないのかしらん(町田風)と思わず口をついてしまう。面白すぎて悶える。町田作品はつい最近初めてちゃんと読んだ「猫にかまけて」でハマるまで何故かずっと手に取らずに来た。今まで読まなかったことを悔やみ、と同時にこれから一つずつ読んでいけるという幸せを噛み締めつつ。
一家の滅亡を防ぐために毎日せっせと冷蔵庫の中の鶏卵を並び替える「夫婦茶碗」にクツクツ笑いが止まらない。こんな小説を書く人を旦那に持つ奥さんに羨望。とにかく羨ましい。
そしてもう一編の「人間の屑」が最高に良い。すごいよこの人、と思う。清十郎の底抜けに屑なパンクな生き方にしびれる。野良猫の家系図作成しかり、SMうどんしかり。最後のビデオ撮影には思いもよらず目頭が熱くなる。
私の中では5つ星です。SMうどんなんか思いつくか、普通。



土の中の子供

土の中の子供


去年の上半期芥川賞受賞作。へえー。
とてつもなく暗く辛い話。あらゆる暴力、それが嫌というわけではなく、何もかもが中途半端で一体何を伝えたいのかがわからなくて読んでいて疲れる。こういうのは読者に共感を求めているのか、理解を求めているのか、一体何を感じれば良いのかわからない。たぶんこの著者のものはもう読まない。