どんてん生活


どこから見てもイマドキじゃない、リーゼント頭に女もののサンダルをつっかけた紀世彦。いつもぼんやり、眠たげな表情の努。とくに目標もなくうすぼんやりと生きている二人の、まさに“曇天”な生活。
開店前のパチンコ屋で並んでいて隣り合った二人(写真)。努が無職だと知った紀世彦は、自分の仕事(裏ビデオのダビング作業)の手伝いをもちかけ、二人の共同生活が始まるのですが。
彼らのいる世界はいつも曇り空に覆われていて、それが生活にぴったりとはまっている。どんより、ぼんやりしたぬるい世界。それにこの貧乏くささは一体なんなんでしょう。
監督・山下敦弘さんの他作品『ばかのハコ船』や『リアリズムの宿』と同じくとぼけた間はありつつも、デビュー一作目ということもありさらに自主制作っぽいつくりになってます。全然お金かかってなさそうです。
やっぱりこの雰囲気好きだなぁ。たいしたストーリー展開なんてないし、“素敵な、魅力的な俳優”なんて間違っても出てこないけど、なんて言うか・・・すごくリアルなんです。そこらへんにいる、しがない覇気のない若者のくだらない生活を垣間見てる感じ。「しっかりせえよ」と言いたくなるけど、なんだか憎めないんですよねぇ。
山本浩司さんはいつもながらとぼけたいい味を出してて、山下監督作品には欠かせない存在になってます(私の中で)。努くん役の宇田鉄平さんは、この監督作品でいつも音楽を担当しているバンド“赤犬”のメンバーの一人だそう。
山本浩司さん自身も監督として作品を作っているようだから、ぜひそっちも観てみたいな。