パンチドランク・ラブ

aoi_aoi2004-09-14



初めて観たアダム・サンドラーの映画。いやー好きですこれ。また一つお気に入り作品が増えました。やっぱりポール・トーマス・アンダーソンはいい!前作『ブギーナイツ』や『マグノリア』とは少し趣向の違ったラブストーリー。この人は哲学的な群集劇専門というイメージがあったのだけど、こんな作品も創れるんだな。すごい。ラブストーリーと言っても普通の男女が出てきてただ恋愛をするわけじゃ勿論なくて。
幼い頃から7人の姉に囲まれて育ったバリー・イーガン(サンドラー)はとてもナイーブで人付き合いも苦手、女性との付き合いも自然にできないような男。トイレの詰まりを取る吸盤棒(アイデア商品みたいなもの)をホテルに売る仕事をしている・・・まずこれがかなりユニーク。ある日目の前に置き去りにされたピアノ(正確にはハーモニウムというらしい)を事務所に持ち帰り、暇さえあればポロンポロンと弾いているバリー。ある会社の商品のクーポン券を貯めてマイルに交換するため安価なプリンを買い漁るちまちました男、バリー。言ってみると近くにいればかなりマニアックでちょっとキモいタイプの男の人。なのにそれが観ているうちにどんどん愛らしく見えてくる。とっても人間くさい、ラブリーなバリー。
そんなバリーに一目惚れして一直線なリナ(エミリー・ワトソン)もちょっとキモいのに何故かカワイイ。エミリー・ワトソンって『奇跡の海』や『アンジェラの灰』などで暗い印象があるしそんなに綺麗な女優さんでもないし・・・なのにこの映画の雰囲気にぴったりハマっていた。こんなキャストふり、よく考え付くなーってひたすら感心。そういえばあの『アメリ』役も最初はこのエミリー・ワトソンのために作られたって聞いたことある。あの役はオドレイ・トトゥのキュートさもあってすごい人気作品になったけど、思ったほどハマれなかった私にはもしかしたらエミリー版アメリのがある意味観てみたらハマってしまったかもしれない。綺麗じゃないけどそういうある種不思議な魅力がある女優さんだと思った。
あと、この監督ものにはお決まりのフィリップ・シーモア・ホフマンも脇で出演。彼ははずしませんねー、いつ観ても巧い。ここではちょっと出番が少なかったようで、もっと出てきてほしかったけど。彼の「シャラップ!シャ・ラーーーーー・ップ!!!」には大笑いしてしまった!
映像・音楽もとっても素敵で、観てからずっとあの音楽が私の中でヘビーローテーションしている。
題名の“パンチドランク”は強烈な一目惚れという感じ?この題名がとってもいいです。アメリカ産のラブコメは好きになれず興味も持てないのだけれど、アンダーソン監督もアメリカ人なんですよね・・・こういう感覚を持つ監督のだったらどんなジャンルの映画でも観てみたいと思える。
あと、アダム・サンドラー作品ももっと観てみようと思った。