アフターダーク 村上春樹著


買ってはみたもののなかなか読む気になれず(やっぱり少しこわくて)とりあえず『風の歌を聴け』や『1973年のピンボール』などを読み返し。あと短編もいろいろ再読。短篇集ではやっぱり『中国行きのスロウ・ボート』が、地味だけど好きだな。表題作、あと芝生刈りのアルバイトをする男の子の話と、昔飼っていた犬が死んでから自分の手のにおいが気になる女の人の話。いいお話がいっぱい詰まってる。他にも大好きな『納屋を焼く』やら『沈黙』、『七番目の男』など短編をたくさん読んだ。やっぱり好きなものは安心して読める、この安心さが大事なのです、今の自分には。
昨日やっとアフターダークを読み始め。いくら読むのが遅い私でも3時間くらいで読めちゃいそうな短さ。とりあえずお風呂で七分目くらいまで読んだ。やはりいつも視点となっている「僕」の存在がないのはちょっとさみしい。まだ途中だからなんとも言えないけど、思うに『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』や『ねじまき鳥クロニクル』で出てくるあっちの世界とこっちの世界の共存や、影の存在、暴力性について、など今までのテーマがあれこれ詰まっているという感じを受ける。うーん。最後まで読んだらどう感じるんだろう。
作家に昔のものを、変わらない良さを求め続けるのは違うという気がする。歳と共にいろんなものが上乗せされていくだろう。けどどうしても思ってしまう、最近村上さん説明が多くなったような・・・。私は説明されるの嫌い(自分ではやたら説明多いけど)。面白さは前と変わらないけど、前作『海辺のカフカ』あたりから(いや。その前の『スプートニクの恋人』あたりから?)何度も何度も読み返したくなるような感じが薄れていってるような。読み手にいろんな注文つけられて作家というものも大変な職業だ、つくづく。
とりあえず最後まで読んだらすぐまた読み返してみるべし。