読書

ブクオフにて買ったもの。

ナチュラル・ウーマン 松浦理英子(ISBN:4309009328) 今は絶版になってるトレヴィル版を見つけて感激。20年近く前の本なのにとてもきれいに読んであるのも嬉しい。松浦理英子は久しぶり。 ボロボロになった人へ リリー・フランキー(ISBN:4344003314) この…

無名  沢木耕太郎

親というものについて。生を受けた時から無条件に当たり前にあるその存在に、ある時期まで共に過ごした日常の積み重ねに、子は親のことを知っているつもりになっている。けれど親というものの本当の姿はその実何も理解していないものなのでは、親子とはそう…

無名  沢木耕太郎

無名作者: 沢木耕太郎出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2003/09メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (32件) を見る 自己顕示欲や物事への執着心を持たず、世俗的な成功にも縁のなかった父。読書と音楽、一杯の酒を愛した無名の父の最期を看取…

図書館で借りた本。

食卓のこころ作者: 山本ふみこ出版社/メーカー: PHPエディターズグループ発売日: 2003/08メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (8件) を見る 平々凡々と続いてゆく毎日をていねいに、自分の気持ちいいように暮らすことって簡単そうでむつかし…

小川洋子3冊。

余白の愛 (中公文庫) 沈黙博物館 (ちくま文庫) ブラフマンの埋葬 小川洋子さんの紡ぐ言葉、現実か幻か定かでない出来事に心奪われる。どのお話も喪失感に溢れていて、それでいて幻想的で美しい。 『余白の愛』では主人公・わたしの耳、速記者であるYの指がい…

納屋を焼く  村上春樹著  ISBN:4101001332

何度読んでも好き。何度読んでも怖い。どんどん怖くなっていく。 時々納屋を焼くんです。 突然彼が言う。 簡単な話なんです。ガソリンをまいて、火のついたマッチを放るんです。ぼっといって、それでおしまいです。焼けおちるのに十五分もかかりゃしませんね…

トニー滝谷 村上春樹著  

今週末から京都シネマで公開されるのだけど、なぜこの作品が映画化なんだろう・・とずっと思ってた。なので引っぱりだしてきて再読。 読んだあと「しまった」と思った。映画を先に観るべきだった・・・。 『レキシントンの幽霊』は何度か読んでるけど「トニ…

ゆっくりさよならをとなえる 川上弘美

これも図書館で借りてきて読んだ。川上さんのエッセイ。 あとがきで川上さんは、この作品に通底するのは「本のこと」と「まごまごした感じ」と書いているが、まさに!読んでて川上さんがまごまごと生活している様が浮かんでくる。とてもいい感じ。この人のま…

偶然の祝福 小川洋子

読了。やはり不思議な小説だった。 短編集なのだけどどの話も主人公は同じ。ある小説家の女性の不思議な体験が散りばめられている。物語は現在と過去が絡み合って順不同で進んでゆくんだけど、はじめは意味がわからなかったことが進むにつれて段々浮き彫りに…

偶然の祝福 小川洋子  

今読みかけの本。いくつかの編に分かれていてすべて作家の女性が語り手なので、てっきり小川洋子さんのエッセイだと思っていた。でも読み続けるうちに、ん?これ本当の話?これ全部本当にあった話??どうやらエッセイではないみたい。実話なのかフィクショ…

今夜、すべてのバーで 中島らも  

らもさんが死んでもう四ヶ月以上も経ったんだ。 らもさんの本は『ガダラの豚』と『水に似た感情』をたしか読んだはずなのだけどうろ覚え。評価されている作品なのに、私には合わないってことかなぁと、それ以外は読んでいなかった。でも昔からこの本はずっと…

黒と茶の幻想 恩田陸  

600ページを超える長編。長い。でも読み出したら早かった。 大まかなストーリーは、学生時代の仲間である利枝子、彰彦、蒔生、節子の旅。卒業から十数年を経た4人がひょんな事からY島(なんで屋久島って書かないんだろう?)に旅をすることになる。そこで彼…

Q&A 恩田陸  

これからあなたに幾つかの質問をします。 ここで話したことが外に出ることはありません。都内郊外の大型商業施設で重大な事故が発生した。死者69名、負傷者116名。 原因は火事か、はたまた毒ガスか。現場はパニックに陥り、それが更に新たな被害を生んでゆく…

間宮兄弟 江國香織 

一週間ほど前に読んだのだけど一応感想書いておこう。とにかく面白かった。 間宮さんちの兄弟は世間で言うオタクな男?30歳を過ぎても兄弟で二人暮しをし、とても仲良し。家にいることを好み、二人でいつも遊んでいる。好きなプロ野球球団のスコアを毎日つけ…

キッチン 吉本ばなな 

『キッチン』に収録されている『ムーンライト・シャドウ』が良い、と何度か耳にしていたので、借りて読んでみた。 恋人を事故で失った女の子(主人公)。絶望というものの正体を知り、もがき苦しんで、やがて自分で答えを出してゆく物語。大切なものを失うと…

バースデイ・ストーリーズ  

ISBN:4120033414 今まで知らなかった作家を手軽にかいつまんで知ることができるアンソロジーって嬉しい。村上春樹が訳・編してるのでとっつき易いのもあるし。 どれも約20ページほどしかない短編だけど、それぞれ味わいがあって面白い。中でもイーサン・ケイ…

妊娠カレンダー 小川洋子著

ISBN:4167557010 やっぱりこの人の文章はしっくりくる。なんだか馴染む。 同じ家で暮らす身ごもった姉の妊娠の過程を記録していくわたし。一見幸せな話かなぁと思いきや、そうでもない。超音波装置で撮った生まれてくる子供の写真を見せられても、徐々に突き…

体の贈り物 レベッカ・ブラウン

うまく言えないけどすごい。いい本を読んだ。 簡潔な文章。誠実で清潔な表現。胸が詰まる。 エイズ感染者達と、彼らの世話をするホームケアワーカーの女性(語り手)。こういう題材を扱っているものに特有な湿った物語はなく。悲しさや嬉しさの中で感じる感…

誕生日の子どもたち トルーマン・カポーティ

ISBN:4163208909 誕生日の子どもたち 子供と、ある種の限られたおとなだけが持つ無垢なこころ。それはあまりにも純粋で傷つきやすく、また同時に毒を含んでいるが故に残酷でもあり。この短篇集はカポーティの自伝的な要素が多々含まれているが、親の愛に恵ま…

ハチ公の最後の恋人 吉本ばなな

インドからやってきて再び帰っていくハチと、ハチの最後の恋人になる事を受け入れるマオの物語。 初めて読んだ吉本ばななの作品。最初、この人の言葉の紡ぎ方にちょっと抵抗を感じたけれど、読んでいくうちに少しづつ慣れてきた。 ストーリーがどうこう言う…

黒蝿 パトリシア・コーンウェル著

予想通りと言うかなんと言うか。いっぱいツッコミ入れたくなる作品でありました。やっぱり主人公語り→三人称へと変わったのは失敗だったんじゃないかなぁ。 テンポはよくなるけど、その分主人公に対する思い入れがなくなってしまう。こういうシリーズは主人…

アフターダーク 村上春樹著

買ってはみたもののなかなか読む気になれず(やっぱり少しこわくて)とりあえず『風の歌を聴け』や『1973年のピンボール』などを読み返し。あと短編もいろいろ再読。短篇集ではやっぱり『中国行きのスロウ・ボート』が、地味だけど好きだな。表題作、あと芝…

思いわずらうことなく愉しく生きよ 江國香織

江國さんの書く姉妹のお話はとってもいい。『流しのしたの骨』でも彼女は若い姉妹や兄弟が出てくるいわゆる家族小説を書いていたが、本作は彼女たちが大人になってからの小説という感じ。 私は一人っ子なので江國さんの書く姉妹小説がリアルかどうかは実感と…

偶然の音楽  ポール・オースター

一言で言うとすればクールな小説。本当の自由って何なんだろうと考えさせられる。もちろんオースターはその答えを提示はしてくれない。 妻に去られた消防士のナッシュに突然父の死による遺産が転がり込んだところからストーリーが始まる。望みのないものにし…

ポール・オースター 『偶然の音楽』

あと20ページほどで読み終わる。今日読み終わってしまったら、読後虚脱感でよけいに眠れなくなってしまうだろうか。いや逆にこんな気分の時は、かえって主人公ナッシュの救いのない行方に励まされたりするかもしれない。