誕生日の子どもたち トルーマン・カポーティ


ISBN:4163208909
誕生日の子どもたち
誕生日の子どもたち
子供と、ある種の限られたおとなだけが持つ無垢なこころ。それはあまりにも純粋で傷つきやすく、また同時に毒を含んでいるが故に残酷でもあり。この短篇集はカポーティの自伝的な要素が多々含まれているが、親の愛に恵まれなかった彼は、幼少時代=無垢さを持ち続けた大人である友人(老従妹のスック)との思い出、だったんだろう。読んでいてなんとも言えないやるせなさを感じる。
以前に表題作を他の人の訳で読んだことがあるが、今回の村上春樹の訳が断然良かった。翻訳っていうのは本当に相性が大切だと思う。原文で読めないものは翻訳に頼るしかないし、どんな翻訳に出会うかで大まかな良し悪しが決まってしまう。そこらへん怖いかも。