小川洋子3冊。

ブラフマンの埋葬 沈黙博物館 (ちくま文庫) 余白の愛 (中公文庫)




小川洋子さんの紡ぐ言葉、現実か幻か定かでない出来事に心奪われる。どのお話も喪失感に溢れていて、それでいて幻想的で美しい。
『余白の愛』では主人公・わたしの耳、速記者であるYの指がいきいきと、字を追うだけでそれを目にしているかのような描写にくらくらした。
ブラフマンの埋葬』では主人公のブラフマンに対する静かな愛情に涙した。淡々と描かれる弔い。
『沈黙博物館』は小川さんの作品ではめずらしくとてもスリリングな気分を味わった。少し「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」を思い起こさせる作品。