今夜、すべてのバーで 中島らも  


らもさんが死んでもう四ヶ月以上も経ったんだ。
らもさんの本は『ガダラの豚』と『水に似た感情』をたしか読んだはずなのだけどうろ覚え。評価されている作品なのに、私には合わないってことかなぁと、それ以外は読んでいなかった。でも昔からこの本はずっと気になっていた。やっと読むときがきたなぁと。
題名から受けるお洒落っぽい小説、ってイメージとは違う。アル中だったらもさんの自伝のような作品。実際に出てくるエピソードも全く同じことをらもさんが体験したってあったし。私はらもさんのとぼけた可笑しさが大好きだったけど、それは別方向から見ると哀しみにもとれるんだな。うん。可笑しいものって哀しいもんなぁ、喜劇にしろ。
アルコール依存症という病気は私にとってとても身近な問題だから読んでてすごくリアルで苦しかったけど、アル中やヤク中に対する国や世間の目というもの、そういうものに久しぶりに触れて、やっぱりこれからも避けては通れないしちゃんと目を向けなければって、思った。(別に私はアル中ではありませんが)
いい小説だった。らもさんはやっぱりすごい人だ。