間宮兄弟 江國香織 


一週間ほど前に読んだのだけど一応感想書いておこう。とにかく面白かった。
間宮さんちの兄弟は世間で言うオタクな男?30歳を過ぎても兄弟で二人暮しをし、とても仲良し。家にいることを好み、二人でいつも遊んでいる。好きなプロ野球球団のスコアを毎日つけたり、ジグソーパズルが大好きで買ってきては週末に二人して没頭することも楽しみのひとつ(二人はパズルのことを「おもしろ地獄」と呼ぶ。こういうのがとても江國さん的だ)。でも全然気持ち悪くないのです不思議に。
ふたりは自分にとって大切なものをちゃんとわかってて、とても豊かに生活を楽しんでる(経済的なことじゃなく)。季節感を楽しみ、夏には風鈴を飾って。冬至にはお風呂に柚子を入れて。好きな女の子を花火に誘って、その子が「花火なら浴衣を着ていこうかな」の一言で、自分たちも浴衣を来て迎えようと買いに走る兄弟。映画や本を愛し、その時間を大切にする。兄弟や親を当たり前に大切に思う。背伸びをせず自分の身丈にあった充実した生活を楽しむふたりに、読んでいて顔が綻んでしまう。
もちろんふたりも恋はする。たとえ撃沈してばかりでも。でもこの恋愛至上主義の世の中にあっても、大切なものは恋愛の他にもたくさんあって、たとえ彼女ができなくても自分の生活に満足している(一抹のさみしさはあるのだけど)こんな生き方も素敵だなと思ってしまうのです。
ひとつギモン・・・どうして間宮兄弟はモテないのでしょう?まぁ、一般ウケする容姿ではないと思われるのでモテモテはないとしても、こんな男の人を好きになる女がいないのは何故だ?この人たちと一緒にいるととても楽しそうだけどな。私はふたりを愛してしまったよ。