偶然の祝福 小川洋子


読了。やはり不思議な小説だった。
短編集なのだけどどの話も主人公は同じ。ある小説家の女性の不思議な体験が散りばめられている。物語は現在と過去が絡み合って順不同で進んでゆくんだけど、はじめは意味がわからなかったことが進むにつれて段々浮き彫りになってくるあたりがとても良い。他の登場人物も、物語の中で描写されるだけで、いちいち説明がないのが良い。
タイトルは幼い息子と愛犬アポロとともに孤独に暮らしている“私”に、次々に訪れる偶然の祝福って意味なのかな。一見すると祝福とは言えなそうな出来事たち、でもそれは“私”にとって何らかの形で祝福に結びついているような。
とっても不思議で心に残る小説だった。