読了。


ボロボロになった人へ

ボロボロになった人へ


人は毎日いろんなことを考える。その中で何かに気づいたり感動したり改めたり。でも結局それは頭の中だけで、影響され、ときめき、反省し、想像し、夢見て、また寝る。結局また同じ自分の所に戻ってくる。没個性で平凡で、自分の望みすら見定めることができない人たち。彼らはある日突然突き抜けてその壁を突き破る。けれど突き破った先にあるものも、慣れてしまえば当たり前のことになってゆく。
どの短編の主人公も同じ鬱屈とした思いを抱えていて、それは私たちにもそっくり当てはまる。著者の目線はそれでも「大丈夫、頑張れ!」的方向にはいかず、ただずっとひとつのことだけを語っているように思える。
「死刑」や「おさびし島」がとても印象に残った。男錆詩島と書いて、おさびし島。


この人の本をきちんと読んだのははじめてだけれど、小説よりもエッセイを読んでみたいと思った。