オアシス
いい映画ってどんな映画をいうんだろう。観る人達を幸せにしてくれる映画？大切な何かを教えてくれる映画？どちらもこの映画を観て感じたことだけど、それだけでは言い尽くせない、素晴らしい映画に出会えたと思う。
観る前に解説やストーリーに触れると「観たくない」と感じる人も多いだろうと思う。私もこの作品には興味を引かれながらもどこかに観たくないという気持ちがあった。観ている最中も「とても嫌な結末になるんじゃないか」と思いながら、こわかった。だからこの希望に満ちた、素晴らしい物語のラストには心底救われ、嬉しい涙が出た。
主演のお二人がとても、とってもいいです。
ソル・ギョングという俳優さんは他にも「ペパーミント・キャンディー」や「シルミド」で素晴らしい演技をされているとのこと。どちらも未見。この人の作品をもっと観てみたい。
本作でヴェネチア国際映画祭・新人俳優賞を受賞した女優・ムン・ソリ。重度脳性麻痺の障害者という、健常者が演じるには多難で、ともすれば嫌味っぽくわざとらしく見えてしまうだろう役を信じられないほど生き生きと、さわやかに演じておられた。DVD特典での彼女のインタビューを聞いて、とても率直で聡明な人だと感じた。
インタビューで彼女が語っていた「愛にはもともと偏見や因習を乗り越えるだけのパワーがある。けれど普段の生活の中で、私達は愛すらも偏見にとらわれているのだ、ということを痛感した」という言葉に、非常に打ちのめされた。
