読んだ本。


袋小路の男

袋小路の男


指一本触れない関係=純愛、てのは違うと思う。だからもちろんこの話も純愛小説なんかではない。私はこんな恋愛をしたことはもちろんないしこれからもするつもりはないが、想像するほど厳しい生き方ではないように思う。「私」は思い通りに運ばない恋愛の中で思いっきり自分本位に生きている、ただの女。せつない展開なのに読んでいて清々しい、すっきりした気分になる。


『アーリオ オーリオ』もとても好きな話。淡々としていて心にじんわりくる。手紙のやりとりで物語が進んでいくところが好き。
ねじまき鳥の笠原メイの手紙を思い出して、ひっぱりだしてきて読んだ。



小説以外

小説以外


著者のデビュー以降15年の間にたまったエッセイをまとめた本。
多忙な生活の中での膨大な読書量。「作家である前に読者である」と言い放つ恩田さんが本屋で目をきらきらさせて本を物色している姿を想像すると、可笑しい。あまり好んでミステリーを読む方ではないが、ちょっといろいろ読んでみたくなった。



猫に時間の流れる (中公文庫)

猫に時間の流れる (中公文庫)


わたしに流れる時間。他の人に流れる時間。猫に流れる時間。
どれも等しい長さで、重さは等しくない。
保坂さんのつらつらと途切れなく続く文章が、きっちり過不足なく心に入ってくる感じがして、ちょっとせつないきもちにもなる。


図書館で借りて読んだ単行本の表紙の猫がかわいい。