アゴタ・クリストフ三部作。
読後、まだ余韻に浸っています。
普通続編のあるものは大抵、一作目が良ければ良いほどあとのものは辻褄合わせというか、一作目は超えられないという感が否めないけれど、本作は一作ごとの語り手や構成も違い、それぞれが独立性を持った作品に仕上がっている。三作品を通しての感情を削ぎ落とした文体、一貫性のあるストーリーながらも所々に矛盾が散りばめられていて混乱する、故に引き込まれる。先日の日記でmatsukawaさんにコメント頂いたとおり、相次ぐどんでん返し、そして錯乱状態に陥る。
小説におけるからくりは、いかに意表をつくものであっても、自己目的化するならば虚しい。その点、A・クリストフの作品には、嘘のための嘘、無意味な嘘は存在しないようだ。月並みな言葉で「文学的真実」としか言いようのないものが、いく重にも積み重ねられたフィクションの各部にしっかりと織り込まれている。だからこそ、彼女のフィクションは真剣に読めるのだろう。
訳者・堀茂樹氏のあとがきより
本作は紛れもなくエンタメの類に含まれる作品だろうけど、ここが普通のものとは違い「あ〜面白かった」と終わってしまわないところなんだろうと思う。とにかくいい本を読んだという気持ちでいっぱい。いろんな人に薦めたい小説です。
悪童日記 (ハヤカワepi文庫)で“ぼくら”が生きていくための数々の訓練のうちの一つ、作文の書き方でのルールをメモ。
〜ぼくらには、きわめて単純なルールがある。作文の内容は真実でなければならない、というルールだ。ぼくらが記述するのは、あるがままの事物、ぼくらが見たこと、ぼくらが聞いたこと、ぼくらが実行したこと、でなければならない。
たとえば、「おばあちゃんは魔女に似ている」と書くことは禁じられている。しかし、「人びとはおばあちゃんを<魔女>と呼ぶ」と書くことは許されている。(略)
感情を定義する言葉は非常に漠然としている。その種の言葉の使用は避け、物象や人間や自分自身の描写、つまり事実の忠実な描写だけにとどめたほうがよい。
それから帰りに猫村さん購入。
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ほくほく。読むとすぐ終わってしまうのでもったいないなーと思いながらちらちら見る。
やっぱ今日は読むのやめて、まず1を読みなおしてみよ。