• 63. サフラン・キッチン/ヤスミン・クラウザー


サフラン・キッチン (新潮クレスト・ブックス)


悪いことから、良いことが生まれる。
じんわり、ずっしり、きた。ところどころドラマチックすぎると感じた展開も、二代にわたって描かれる家族の深い記憶、哀しみ、歓びによって物語をさらに奥深くしているように思える。サフランの色。


  • 64. ある秘密/フィリップ・グランベール


ある秘密 (新潮クレスト・ブックス)


1950年代のパリ。ひとりっこである「ぼく」の誕生以前に遡る、ナチスによる弾圧のもとで両親の間に起こった秘密。精神分析医である著者の自伝小説。
「この本を書いて、私は自分が本当に孤児になったと感じました」(訳者あとがきによる著者の言葉)


ぼくがこの世に生まれてくることを可能にした夜。ぼくが誕生できたのはこんな条件のもとにでしかない。