カポーティ @京都シネマ


フィリップ・シーモア・ホフマンの演技は圧巻だった。
惨殺事件の犯人のひとり、ペリーとの出会いにより創作意欲が高まっていく中で、一番の見どころはカポーティが犯人ペリーに寄せる非常に複雑な思い。彼(カポーティ)自身と似通った部分を持ち屈折した精神状態にあるペリーに自分の一部を重ねるカポーティ。ペリーの死はカポーティ自身の死でもあり、また死によって切り捨てたい部分でもある。殺人を犯すに至った経緯を完全に把握した上で望むペリーの死。“何よりも君の死を恐れ、誰よりも君の死を望む”。けれど「殺した本当の理由」は完全に解明はされることなく死刑執行に至る。
カポーティからみたペリーの存在は乱暴な言い方をすれば、村上春樹氏の初期作品でのテーマ(僕と鼠に象徴されるもの、とか)に通じるものがあり、私にとって非常に興味深いテーマだった。これは私個人の解釈だけれど。