海を飛ぶ夢

aoi_aoi2005-05-10



 公式HP http://umi.eigafan.com/
本年度アカデミー外国語映画賞ゴールデン・グローブ最優秀外国語映画賞受賞作。


彼に誘われて公開初日に観に行った。私はみなみ会館の『バッド・エデュケーション』にしようと言ったのだけどそっちはあまり観たくなさそうだったので、じゃあ一人で観に行こうってことでその日は京都シネマへ。なんと朝から毎回満席・・・なんとかぎりぎり滑り込みました。どんな映画なのか全くの知識もなく行ったのだけど、チラシでちょっと観てみるとすごく良さそうな映画。でも『アザーズ』の監督ってちょっとなぁ、とか思いながら。

結果。私は好きじゃなかった。海の事故により四肢麻痺という障害を負ったラモン・サンペドロという人の手記を映画化したものらしい。「尊厳のある生き方、または死に方とは」を問うテーマはとても興味深く考えさせられるもので、とっても重い、重すぎるテーマのわりに映画の中でのストーリーは淡々と進み、観るのがつらいタイプの映画ではなかった。なのにどうして私はあんなに違和感を感じたのだろう。それを今でもずっと考えている。ラストで主人公が自分の半生を振り返って語る内容が私には腑に落ちなかった。違う、と思った。それ以上うまく表現できない。
観終わって第一声に「私、あかんかったわー」と彼に言ったらとても驚かれた。彼は震えがくるほど良かった、共感したと言う。それを聞いて私も驚いた、だって彼自身は「生も死も、自ら選ぶことが許されないのが生き物だ」という考えの持ち主だから。それから3、4時間ほどこの映画について語り合った。ここにはうまく書けないが、彼の共感した部分、感動した部分というのがとっても的を射ていてすごく感心してしまう。この映画は好きではないけれど、彼の視点から映画を考えるとすごく良くできた作品のように感じてくる。家に帰ってネットで調べてレビューを読んだけど「通り一遍の感動」的なことばかりなようでそれともちょっと違う。もっと人間としての根本的な事。ヒトはそんなに高尚な生き物じゃない。ヒトとヒトとの愛も同じ。でもそれがニンゲンという生き物で、それは哀しくもあり、だからこそ尊い
・・・言葉にするとちょっと違う気もするな、言葉ってむつかしい。