ダーウィンの悪夢@みなみ会館


悪夢は悪夢でも映画の方。公開初日の土曜に鑑賞。

生物多様性の宝庫であることから「ダーウィンの箱庭」と呼ばれていたアフリカのヴィクトリア湖に放たれた一匹の魚。そこから悪夢のグローバリゼーションが始まった。肉食の外来魚ナイルパーチは増殖し、町には魚を加工・輸出する一大産業が誕生し地域の経済は潤う。しかしその陰では悪夢のような惨劇が生み出されていった。


下調べせずに観に行ったのでこの映画の主旨を誤解しかけていた。タンザニアから主にヨーロッパと日本に向けて大量輸出されているナイルパーチと呼ばれる魚が悪い魚でありそれを日本人も食べているので他人事ではありませんよ、という主旨の作品かなと思っていた。
この映画ではこの問題についてわたしたちは何をすればいいのか語られていない。この魚だけではなく例えばカカオ。発展途上国で原産され劣悪な環境で働く子どもたちの口には入ることはなく、高価なチョコレートとなって欧米や日本に輸出される。それにより途上国の経済の一部は潤うけれど、それにより貧富の差は広がり貧困やエイズで多くの人が死に、親を亡くしたストリートチルドレンが溢れる。悪夢のグローバリゼーション。経済の発展という良い面の裏側には私たちには見えないネガティブなものが無数に渦巻いていて、私たちはそれを知っていなければならない、そしてそれについて考えなければならないということ。その真実を、過剰な表現を排して撮られたこの作品はドキュメンタリーとしてとても素晴らしいと思う。観て良かったと思うし多くの人に観てほしい作品だと思う。