角田光代著 この本が、世界に存在することに


角田さんの作品は今まで長編小説3編(「エコノミカル・パレス」「東京ゲスト・ハウス」「あしたはうんと遠くへいこう」)を読んで、合わない作家だと位置付けてしまった。図書館の新刊コーナーにあったこの本を題名に惹かれ手にとって少し読んだらエッセイみたいですっと入っていけたので、ちょい借りてみたんだけど。
実際、エッセイではなかった。本にまつわる短編小説でした。途中まで気付かなかった・・。でも読みすすめてみるとこれがとても良くって。どの短編もどこかで自分が出会ったような、感じたような、それでいてとても不思議で縁を感じるような。デジャヴュの感覚を二、三度味わう。
どれもこれも共感できる素敵な話だったけれど、特に好きなのは「だれか」や「ミツザワ書店」、「さがしもの」かな・・・
本は紙の束ひとつでいろんな世界に連れてってくれる。自分が一生行くことのない、触れることのない世界へ。自分以外の人の心の中へ。
すっごくおすすめの本。